第2部・ミレニアム特集――21世紀夢の技術展、来年夏に開催、5分野に最新の成果。(1999年10月1日)

■いつ?
1999年10月1日
■どこで?
記載なし。
■誰が?
株式会社日本経済新聞(2000年1月1日参照)
■何をした(する)?
「21世紀夢の技術展」(=通称「ゆめテク」)での技術分野の出展概要を発表し、その中にUDに関する記載があった。
■なぜ?
2000年夏に「21世紀夢の技術展」(=通称「ゆめテク」)を開催するため。(2000年1月1日参照)
■どのように?
・「21世紀夢の技術展」では、5分野で最新の成果を発表する。

・その5分野うちの1つでは、「人と先端技術の調和」をモチーフに(1)人に優しいUDを採用し、災害にも強い未来の市街・住宅とその技術(2)ITS(高度道路交通システム)やリニアモーターカーなどの最先端交通システム技術(3)高齢社会の進展を背景に需要の高まる新しい福祉・介護機器・技術などが紹介される。

・政府系研究機関のほかに「人と先端技術の調和」をモチーフに未来技術を出展する企業には、トヨタ自動車株式会社、本田技研工業株式会社、三菱自動車工業株式会社、スズキ株式会社、JRグループ、オリンパス光学工業株式会社(現・オリンパス株式会社)、フランスベッド株式会社などが挙げられた。

障害者に優しい街、一目で――福島の財団、CG想像図をネット公開へ。(1999年5月17日)

■いつ?
1999年6月
■どこで?
福島県郡山市
■誰が?
財団法人・広域社会福祉会
■何をした(する)?
バリアフリーを随所に取り入れた道路などのコンピューターグラフィックス(CG)想像図をインターネットで公開した。
■なぜ?
設計などの専門家だけではなく一般にもUDの概念を理解してもらい、普及に役立てたいから。
■どのように?
・広域社会福祉会では「都市計画段階からのバリアフリーが必要」としており、道路や公園、橋、駅、ターミナルなど街全体の障害者だけではなく健常者にも使いやすいUDを検討してきたという。

・インターネットで公開するのは、道路、地下道などの設計をCGで表現した図。例えば道路では、車椅子やベビーカーが安全にすれ違える幅の歩道を確保、車道などと仕切る柵や視覚障害者のための誘導ブロックなど路上設備も考慮した。さらに自動車や自転車、車椅子などそれぞれの視点ごとのCG図が見られるようにし、イメージがわきやすくする。

・広域社会福祉会は「手すりなどは予算の都合上、計画しても最終段階で削られてしまうこともある。知ってもらうことで、UDについて関心をもっと高めたい」と話している。

・1999年5月17日の日本経済新聞の記事ではUDは「身障者だけでなくすべての人に使いやすいバリアフリーのデザイン」と表現されていた。

■参考資料
「障害者に優しい街、一目で――福島の財団、CG想像図をネット公開へ。」『日本経済新聞』1999年5月17日,朝刊,38面

公園、ハンディ超え楽しく――香りや音など工夫、車いすでの遊びに配慮。(1997年11月1日)

■いつ?
1991年
■どこで?
全国
■誰が?
建設省(現・国土交通省)
■何をした(する)?
「身障者を考慮した公園施設」と題する設計・施工指針をだした。
■なぜ?
記載なし。
■どのように?
・1991年に建設省(現国土交通省)が出した「身障者を考慮した公園施設」と題する設計・施工指針を受けて、1997年頃には障害を持つ子供が健常者と一緒に楽しめるよう配慮された遊具を設置するなど”優しい公園”づくりが各地で進んでいた。

・1997年5月、大阪府堺市の大泉緑地の一角にオープンした「ふれあいの庭」(約2000平方メートル)の園内の通路はすべてスロープで、花壇も地面から60~70センチの高さに配置、車椅子に座ったままで植物に触れることができ、公園の入り口には点字を使った触知案内板や音声案内装置もあり、「ハンディの有無にかかわらず、きゅう覚や触覚などで四季の草花が楽しめるような工夫を盛り込んだ」と公園を管理する大阪府南部公園事務所の正木裕子技師は語る。

・東京都の立川、昭島両市にまたがる国営昭和記念公園には1997年3月、視覚障害者達の人たちからの「ベンチであることが触ってすぐにわかる工夫がほしい」との声が設置のきっかけに、座る面にタイルで凹凸の模様を付けたベンチが8基登場した。

・1997年11月1日の日本経済新聞の記事によると、国営昭和記念公園は1994年に、障害を持つ子供も一緒に遊べる「ワンパク遊具」を設置した。埼玉県所沢市の県立所沢航空記念公園でも1998年3月までに「ワンパク遊具」を設置する予定である。

・造園コンサルタント会社のSEN環境計画室(大阪市)は「人にやさしい公園づくり――バリアフリーからユニバーサルデザインへ」という手引き書を出版している。

・建設省(現・国土交通省)は1997年当時、同指針の改定作業を進めており、UDの理念を盛り込んだ新指針を1998年にも出す考えであった。

■参考資料
「公園、ハンディ超え楽しく――香りや音など工夫、車いすでの遊びに配慮。」『日本経済新1997年11月1日,夕刊,10面

東急不、分譲マンション向け、住設機器、家庭に優しく――ケガ防止へ工夫凝らす。(1997年10月14日)

■いつ?
1997年11月
■どこで?
東京都世田谷区
■誰が?
東急不動産株式会社
■何をした(する)?
住宅設備機器にUDを採用した分譲マンション第一弾「プレステージ成城」の販売を開始する。
■なぜ?
安全や安心といった住まいに必要な基本性能を高めるため。
■どのように?
・「プレステージ成城」では、UDの住宅設備機器の導入にあたって消費者によって求める機能が異なるため、まず有料オプション仕様としたが、東急不動産株式会社は今後の需要を見極めたうえで、UDをマンションの標準装備にする考えである。

・オプションとして採用するのは、電線コードにつまづいてもコンセントが簡単に外れて怪我をしにくい「埋め込みマグネットコンセント」(部品・工事費含め1個1900円)、居室や廊下に設置する埋め込み式の夜間点灯ライト(同4000円)、熱線感知センサー付きの足元灯(同1万3800円)、手かざすと水がでるセンサー付きの自動水栓金具(10万円)、手すりの下地補強(トイレで6500円)と設置(トイレで2万5000円)など。

・1997年10月14日の日本経済新聞の記事では、UDについて「ユニバーサルデザインは90年ごろに米国で生まれた理論だといわれ、96年ごろに北欧を経て日本に入ってきた。これまでの経済的・機能的なデザイン一辺倒ではなく、家やモノ、都市計画に関してもだれにでも分かりやすく、肉体的な負担が少なく使い勝手の良さを追求している。従来の日本のバリアフリーに対して、 『いかにも老いを感じる』『無機質感がある』などと抵抗のある消費者の支持を集め始めている。」と記載があった。

■参考資料
「東急不、分譲マンション向け、住設機器、家庭に優しく――ケガ防止へ工夫凝らす。」『日本経済新聞』1997年10月14日,朝刊,15面

シルバー新市場戦略探る企業(3)「高齢者配慮」いかして――幅広い層に使いやすく。(1997年9月4日)

■いつ?
1997年9月頃
■どこで?
全国
■誰が?
積水化学工業株式会社,三菱電機株式会社,ソニー株式会社などのメーカー各社
■何をした(する)?
UDを意識した製品の開発を行っている。
■なぜ?
高齢者に対するメーカーの認識が変わりはじめたため。
■どのように?
・旭化成工業と建設省(現・国土交通省)の調査によると、65歳以上の高齢者の97%は自立歩行ができるという。これまで「高齢者向けの製品は限定された市場」とみて二の足を踏んでいた企業も、「高齢者対応で使い勝手が良くなれば、広い年代層に受け入れられる」と発想を転換した。

・1997年9月4日の日本経済新聞の記事によると、住宅業界では大手メーカーはほとんどの製品で高齢者に配慮した設計を取り入れているという。積水化学工業株式会社は、エレベーターを標準装備した3階建て鉄骨系住宅「ハイムデシオ」(3.3平方メートル当たり49万円台から)の販売に力を入れている。

・三菱電機は10月、UDを意識した全自動洗濯機「MAV―50L」(7万2000円)を発売。全自動洗濯機は大容量化が進み、洗濯槽が深くなっていて高齢者には使い勝手が悪い。新製品は身長が145センチ前後の人でも水槽に手が届くように開口部を広く、底を浅くしたほか、操作部も通常機種に比べ5センチ下げた。

・ソニーは製品の使い勝手を検証する独立部署「ヒューマンインターフェイスラボ」を置いた。94年、1年がかりで高齢者の筋力や視力、神経伝達速度などを総合的に測定、基礎データを整えた。このデータを基礎に、企画や試作品の段階で、高齢者が使いづらい部分の設計の変更を求め、改善案を提案する。同社は中高年の購入者も多い高級機種のビデオカメラなどの開発で成果を上げてきた。

■参考資料
「シルバー新市場戦略探る企業(3)「高齢者配慮」いかして――幅広い層に使いやすく。」『日本経済新聞』1997年9月4日,朝刊,13面