「誰もが使える」製品づくり(ニッポンの未来は 地域で挑む:5)(2002年06月26日)

■いつ?
2000年1月
■どこで?
新潟県
■誰が?
秋元幸平さん(青芳製作所常務)
■何をした(する)?
「UD(ユニバーサルデザイン)21・にいがた」を結成した。
■なぜ?
「異業種の企業が漫然と集まるのでは意味がない。共通のテーマを設定してアイデアを出しあえば、新しい発想が生まれるのではないか」との考えから。
■どのように?
・県内の企業に業種を超えてビジネスを考えようと呼びかけたところ、約100人が新潟市内のホテルに集まった。食品、酒造、家電、寝具など9社の経営者のほか、新潟大学、県庁関係者らもいた。発足から2年半、メンバーは15社に増えた。

・介護用のおかゆとミニスプーンが00年10月、最初に製品化された。おかゆは、亀田製菓(新潟県亀田町)が飲み込む力の弱った人にも食べやすいよう、べたつきを調整した。べたつきが強いとのどにつかえ、水っぽいと気管に入る。秋元さんの会社のミニスプーンは安全に配慮、おかゆが4グラムしかのらないようにした。

・低農薬・低化学肥料で育てたコメの加工食品にも取り組む。新たに加盟した醸造会社、石山味噌醤油(新潟市)が自社の食用黒酢を農薬代わりに「黒酢農法米」をつくり、きむら食品(吉田町)がモチに加工した。

・秋元さんは東京の下町に生まれ育った。大学の理工学部を卒業後、音響メーカーのクラリオンで生産技術を担当。妻の実家の青芳製作所に常務として入ったのは83年だった。思いついたことは何でも試し、ドアノブや真珠養殖用のハサミなど約200種類の開発に挑んだ。福祉食器も手がけた。形状記憶ポリマーを開発した三菱重工業に頼み、障害者が持ちやすい形に変えられるスプーンやフォークをつくり特許にした。サンスターが加わった形状記憶歯ブラシにも発展した。

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